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ジブリあるある言いたい

 『千と千尋の神隠し』を始め、過去作4作品が久々に劇場公開されて、今また熱い視線を集めているスタジオジブリ作品。ジブリの映画には、よく出てくるキャラクターやシチュエーション、設定などがいくつもあるので、ジブリの映画をもっと楽しめるあるあるをピックアップ。ここに注目すれば、さらにジブリ作品の魅力がわかるはず!(文・金澤誠)

ヒゲとメガネの男に悪い人はほぼいない

ジブリ
豪快ないい男っ!Studio Ghibli / BVHV / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ムスカ(『天空の城ラピュタ』)以外に、メガネをかけた男で悪役はほとんどいません。サツキとメイ(『となりのトトロ』)やキキ(『魔女の宅急便』)の父親もメガネをかけているし、キキの友だち・トンボはメガネがトレードマーク。ポルコ・ロッソ(『紅の豚』)はサングラスとヒゲがチャームポイントです。ヒゲ面の男たちもいい人が多くて、ナウシカを守るミト爺(『風の谷のナウシカ』)、千尋をサポートする油屋のボイラーマン・釜爺(『千と千尋の神隠し』)も黒メガネと見事なヒゲが特徴的。思えば宮崎駿監督もメガネとヒゲの印象が強い。やはり自分に似たキャラは悪く描きたくないんでしょうね。

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みんなよく食べる

ジブリ
ベーコンお願いしま~す。Studio Ghibli Disney / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ジブリ作品には、食べるシーンが多く登場します。ポニョと宗介(『崖の上のポニョ』)が食べるハムとゆで卵のせの即席ラーメンは美味そうだし、カルシファー(『ハウルの動く城』)が焼いてくれるベーコンエッグも、ベーコンのカリカリ加減が食欲をそそる。二郎(『風立ちぬ』)が友人と食べるサバの味噌煮定食やようかんをカステラで挟んだシベリアも、懐かしの昭和の味だ。食べ物だけでなくフィオ(『紅の豚』)が一気飲みする瓶入りのレモネードや、ポニョがその美味しさに衝撃を受けるはちみつ入りホットミルクなどの飲み物も忘れ難い。中でも一番美味そうなのは、パズーとシータ(『天空の城ラピュタ』)が廃坑の中で食べる、シンプルな目玉焼きのせのパンでしょう。

いざというとき頼りになるお姉さまたち

ジブリ
銭婆とティータイム。Studio Ghibli Disney / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ジブリ映画の主人公たちを助ける人には、バイタリティーあふれお姉さまたちが多い。パズーとシータをラピュタまで連れていく空賊ドーラや(『天空の城ラピュタ』)、キキを下宿させるパン屋のオソノさん(『魔女の宅急便』)、怒らせると怖いが千尋に優しい一面を見せる湯婆婆の姉・銭婆(『千と千尋の神隠し』)も印象的なキャラクターだ。彼女たちはヒロインを母性的な愛情で包むが、ちょっと年上のアドバイザーになる先輩キャラも捨てがたい。キキを励ます絵描きのお姉さん・ウルスラや、油屋で働く男勝りな千尋の先輩リンは、その代表格である。

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人間の言葉を話さないユニークキャラ多数

ジブリ
おびえていただけなんだよね。Studio Ghibli / Disney / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ジブリの主人公たちは、直接話しができないものたちと心を通わせます。いつもナウシカの傍を離れないキツネリスのテト(『風の谷のナウシカ』)、助けてもらったことに恩義を感じてソフィーの世話を焼くカカシのカブ(『ハウルの動く城』)、森で迷ったアシタカを導く精霊のコダマ(『もののけ姫』)。言葉を超えた感覚で結ばれた彼らと主人公の関係が、ドラマをより深いものにしています。思い返せば『となりのトトロ』のトトロたちも、やはり人間の言葉を話さない自然の精霊でした。逆にいえば、言葉では表せない想いを画と動きで表現するところにジブリ作品の魅力があるのです。

なぜかお父さんの存在感がない

ジブリ
二人で冒険へ!Studio Ghibli / BVHE / Photofest / ゲッティ イメージズ

 宮崎駿監督の作品では、父親の存在が薄い。ナウシカ(『風の谷のナウシカ』)の父ジルは前半で殺されてしまうし、千尋(『千と千尋の神隠し』)の父親は母親と一緒に冒頭で豚になってしまう。シータやパズー(『天空の城ラピュタ』)には親がいなくて、キキ(『魔女の宅急便』)は親元を離れて魔女の修行の旅に出ます。サツキとメイ(『となりのトトロ』)の父親はけっこう家にいますが、仕事が忙しくて娘たちから目を離しがち。宗介(『崖の上のポニョ』)の父親は貨物船の船長で、家を不在にしていることが多い。親はなくても子は育つということではないでしょうが、宮崎監督独特の父子感がうかがえます。

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声を担当する人が異色

ジブリ
今井美樹が『おもひでぽろぽろ』で声を担当したタエコ。Studio Ghibli / BVHE / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ジブリでは、『となりのトトロ』でコピーライター・糸井重里をサツキとメイの父親役に抜てきしたのを皮切りに、いろんな業界の人々を声の出演者として起用してきました。ミュージシャンだと今井美樹(『おもひでぽろぽろ』)や加藤登紀子(『紅の豚』)、矢野顕子(『ホーホケキョ となりの山田くん』、『崖の上のポニョ』)。落語家では桂文枝(『紅の豚』)や林家正蔵柳家小さん古今亭志ん朝桂米朝(いずれも『平成狸合戦ぽんぽこ』)、柳家小三治(『ホーホケキョ となりの山田くん』)。しかし何と言っても意表を突かれたのは『風立ちぬ』の主人公・二郎役の声を、映画監督の庵野秀明に任せたことでしょう。

とにかく生きるがメッセージ

ジブリ
4歳と14歳で、生きようと思った。ADV Films / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ジブリ作品のキャッチコピーは、作品の雰囲気を伝える秀逸なものが多く、中でも目立つのが“生”に関係する言葉です。兄妹で戦後の混乱期を生きようとする『火垂るの墓』のコピーは「4歳と14歳で、生きようと思った。」。自然と人間との間で葛藤するアシタカとサンを描いた『もののけ姫』は「生きろ。」、人間と海の生き物との間に生まれたポニョが巻き起こす騒動を描いた『崖の上のポニョ』は「生まれてきてよかった。」。航空技術者として戦争に向かう厳しい時代を生きた堀越二郎を描いた『風立ちぬ』は、「生きねば。」。そして宮崎駿監督が現在制作している新作のタイトルは『君たちはどう生きるか』。生きることを問いかけ続けるのが、ジブリ映画でもある。

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不完全であることが魅力になる

ジブリ
Studio Ghibli Disney / Photofest / ゲッティ イメージズ

 どこかが欠けているキャラクターの不完全さを、個性として肯定するのもジブリ作品の特徴です。空を飛ぶこと以外の魔法が使えないキキ(『魔女の宅急便』)や、人間から豚になった呪いを自分の意志で解こうとしないポルコ・ロッソ(『紅の豚』)、タタリ神の呪いを解く旅に出ながら、最後まで完全に元には戻らないアシタカ(『もののけ姫』)、18歳の少女なのに90歳の老婆の姿になってしまうソフィー(『ハウルの動く城』)。不完全な自分の状況を受け入れ、それでも前を向いて生きていくのがジブリの登場人物たちだ。その不完全なキャラクターの究極が、自らのアイデンティティーを失ったカオナシ(『千と千尋の神隠し』)。彼こそ現代人のある一面を象徴した存在です。

どちらかというと犬より猫派

ジブリ
猫率高しっ!Studio Ghibli / BVHE / Photofest / ゲッティ イメージズ

 実際のジブリのスタジオにも猫が何匹か自由に出入りしていますが、ジブリ作品にはよく猫が登場します。サツキとメイをお母さんの所へ運ぶネコバス(『となりのトトロ』)やキキの相棒の黒猫ジジ(『魔女の宅急便』)を始め、雫が書いた物語の主人公・猫のバロンや太っちょ猫のムーン(『耳をすませば』)は、ヒロインのハルが猫の国へ迷い込んで猫にされてしまう姉妹編『猫の恩返し』にも登場します。変わり種では『ギブリーズ episode2』のカレー編で激辛カレー屋トシちゃんの外にいる、強烈なスパイスの匂いに驚いて逃げる猫や、ジブリが制作した日清製粉のCMに登場する猫のコニャラも印象的です。

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働く女性が魅力的

ジブリ
女が元気。Miramax Films / Photofest / ゲッティ イメージズ

 スタジオジブリでは女性スタッフが多く働いていますが、作品でも働く女性が魅力的。ドーラの飛行船で料理番をするシータ(『天空の城ラピュタ』)、パン屋の手伝いと宅急便で生活するキキ(『魔女の宅急便』)、『紅の豚』のホテルを経営する実業家のジーナと17歳にして飛行機を設計するフィオ、タタラ場を取り仕切るエボシ御前(『もののけ姫』)、神々が集う油屋の頂点に立つ湯婆婆(『千と千尋の神隠し』)、ハウルの城でハウスキーパーをするソフィー(『ハウルの動く城』)、デイケアサービスセンターで働く宗介の母親リサ(『崖の上のポニョ』)。ジブリ作品の女性たちは働くことで輝きを増します。

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